もはや若白髪ではない

そう、もはや、これは若白髪ではないのです。

私が首輪を付けられる日 3

一度きりでいいと思っていた男との逢瀬は、

10か月を超えた。

月に2度、男は定期的に私を誘い、

私は、その誘いを1度も断る事が出来なかった。

しなかったのではなく、出来なかったのだ。

 

私は、40半ばになった今でも、

金と度胸があれば、全身を整形したいほど、自分の容姿が嫌いだ。

かといって、若い頃から、実はモテない部類ではなかった。

飲み会に行けば、その中で一番人気の男に気に入られ、

ホステス時代は、営業努力もさほどせずとも、常に売上は良かった。

普通に恋人同士で付き合っても、なぜか毎月、小遣いを貰ったり、

待ち合わせ場所に、わざわざ行った事などなかった。

デートというのは、必ず、お迎えが来るのが、当然だと思っていたのだ。

そんな、ラッキーな異性交遊経験の最中で、私はいつも肝に銘じていた。

「調子に乗るな、私。

私が大事にされているのは、何事もお手頃な女だからだ」と。

 

いっぽう、男はというと、

実年齢は、私より5~6歳若い上に、見た目は更に若く見える。

長めのオシャレなパーマヘアに、シンプルでラフだがセンスの良い服装だ。

細身の衣服に包まれた体は、程よく鍛えられた筋肉を容易に連想できる。

2人でいる時間は優しい聞き役に徹し、行為に至れば、

女性なら誰もが、一度はしてみたい「ロマンチックな洋画の濡れ場」ばりに

時に優しく、時に激しく、絡んでくる。

まるで、世界で一番愛おしい人を抱くように、私を扱う。

セックスをするためだけの女なのに。

離れている間は、毎朝必ずメールをくれる。

これは10か月の間、1日も欠かした事はなく続いている。

短い文面だが、時には、「大好き」などという文字も送られる。

セックスをするためだけの、いわば性処理班の班長ごときに、

ストレートな言葉を投げかけてくるのだ。

あとあと、面倒になりはしないか考えていないのだろうか?と

私の方が心配してしまう。

 

ならば、イニシアチブは私が取れるかと思いきや、取れない。

極めて優しくマメで気遣いのできる完璧な、この年下の男に、

私は、出会った当初から抗えないでいた。

そして、なぜか、恐れていたのだ。