もはや若白髪ではない

そう、もはや、これは若白髪ではないのです。

セイコウへの道

ヤフーニュースをボーっと見ていたら、

一つの記事の見出しに釘付けになった。

 

「マッチョと子猫がチョメチョメ・・・」

なんですと?

いかように?

 

一旦、眼を閉じて想像してから、

再度見出しを読んでみれば、

「マッチョと子猫が登場するイメ・・・」と書かれていた。

だめだ、老眼が深刻なのか、欲求不満が深刻なのか、もう分からない。

 

そんな私の、飽くなき性行への道は長く険しい。

そんなにしたいのなら、彼氏に言えばいいではないかとも思いつつ、

私は、いまだ、その際の台詞すら決められずにいるのだ。

どう言えばいいの?

「営みを、お願いしとうございます」と言えばいいのか?

「ご寵愛を賜りたい」と言うべきか?

シンプルに「だ・い・て」か?

どれもこれも、中の下歴40余年の私には、ハードルが高すぎる。

 

中の下と記したが、実は、それは顔だけの事だ。

若い頃は、よくスタイルがいいと褒められるほど、要は胸が大きかったのだ。

世の男性は、なぜか、胸の大きな女性を、スタイルがいいと称する。

全体を見て判断をするのではなく、

胸のカップ数でスタイルを判断する傾向にあるようだ。

私自身を、冷静に判断すれば、胸が大きいだけの体型だった。

 

そんな、胸だけを武器に、渡り歩いた若かりし頃の私が、

連戦連勝だった事は言うまでもない。

それほど、日本国には、おっぱい星人が溢れているという訳だ。

出会った男は誰しも、私の出っ歯など気にも留めなかったし、

ともすれば、鼻毛が出ていたって、気付かなかっただろう。

それほど、男たちは、いつも私の胸ばっかり見て過ごした。

 

言葉は要らない。

胸だけあれば、それでいい。

 

そんな甘やかされた過去を持つ私が、

今になって、男をその気にさせる落とし文句を思いつくはずがない。

落とし文句のスキルが無いのだ。

 

ならば、やっぱり、体推しでいこうにも、

もう昔のように胸が無い。何処へ行った?

どちらかというとポッチャリと肉付きの良かった頃から、

5~6キロ痩せた今とを比較してみると、

どうやら、今現在、主に胸周辺が重点的に痩せた模様だ。

そして、全体像が、地獄絵図の亡者のようだ。

でも、私には、やっぱり胸しかない。

 

という訳で、昨夜、私は、

中身を失ったぺらんっと軽やかに垂れ下がった胸を引っ提げて、

一か八か、彼に肩もみを依頼してみた。

 

すると、さすが生真面目な男だけあって、

それはそれは、真剣に肩を揉み始めた。

力いっぱい揉む、彼の指から、

肩のツボ的な個所を、決して外すまいという

並々ならぬ覚悟が伝わってきた。

間違っても、ふざけて、滑っちゃったとか言って、

胸を揉んでなるものかという、覚悟が。

 

そっちがそうなら、こっちはこうだと言わんばかりに、

私は、「ん~痛い~」と甘えた声で、脇を締め、

胸に谷間を作ってみせる。

見ろ!見ろや!と願いを込めての、渾身の谷間。

 

すると、男はあろう事か、

「ちょっと肩の力を抜いてくれる?」と言ってきた。

 

この男は、軽やかな夢心地な谷間より

現実社会に耐え抜いてきた肩を選ぶというのか?

・・・負けた。

そう悟った私は、寄せていた肉達を、脇へと逃がしてやり、

その後、数十分、痛さに無言で耐えたのだった。

 

そして、今日、私の肩は、ひどい揉み返しだ。

だがしかし、この痛みが薄らいだ頃、

私は、再び、性行への道へと舞い戻ってやる!