もはや若白髪ではない

そう、もはや、これは若白髪ではないのです。

愛する方法

男の人は、歳が来れば、

一度は風俗へ行くものだと思っていた。

そういうものだと、思っていた。

女の人は、出来る事なら、親兄弟、彼氏や夫の、

そんな光景は想像したくはないものだ。

 

いちいち、聞くのも野暮ではあるが、

先日、一応、彼にも聞いてみた。

「ねぇ、風俗って行った事あるよね?」と。

すると彼は、

「無いです、一度も。」だそうだ。

 

共に暮らして、もう9年以上にはなるが、

それは、驚きの事実だった。

 

彼は、はっきり言って、あっちが上手い。

昔から、どう見ても、遊び人ではなく、誠実で真面目な男であるがゆえ、

初夜にも、一切の期待も無いまま臨んだ。

当時も、歳は充分に大人だったが、内容は、おそらく、

ドノーマルにサワサワ無難に触られて、普通にフィニッシュだろう。

そう予想を立てて横たわった。

 

いいのだ、それで。

愛の確認作業なのだから。

 

そう思いながら、眼を閉じれば、あれよあれよと、

私の体の、そこいら中が、めくるめく快感に覆われて行った。

咄嗟に、「おい、マジか!」っと言いそうになった程だった。

そこは・・・そう、そこ!とばっちり正解なわけで、

そんなところは・・・新感覚じゃ!と新たな感覚を発見し、

終わった頃には、しばらく動けず仰向けのまま、

なぜだか、顔はニヤニヤしていた。

 

しかしやっぱり、内容は、いたってドノーマルだった。

昔付き合った、遊んでると豪語する男のように、

謎めいたアクロバティックな体位を求めるでもなく、

自称テクニシャンなおじ様のように、卑猥な言葉を連呼させるでもなく、

彼は、ひたすら誠実に、私を愛てくれた。

その行為は、今も変わる事はない。

疲れていようが、深夜だろうが、互いが愛を求めれば、

必ず、誠実にドノーマルな愛を体中に奏でてくれる。

 

「風俗の仕事を蔑視している訳ではなく、

ただ、僕にとっては、そういう事は、愛する人への表現の

方法としてしか、できないから」

そんな考え方をする、不器用な、この男が、

私が出会った男達の中で、

最も、気持ちのいいセックスを提供してくれるだなんて、

参ったと言う他ない。

 

しかし考えてみれば、彼が、なぜ上手いのかが、納得いった。

彼の誠実な愛を思い、幸福感に包まれていたのもつかの間、

私は、最近、彼の明らかな性欲の減退を感じている。

 

とりあえず、家に帰ったら、彼に優しくしよう。

そうだ・・・晩御飯は、ウナギにするか。