もはや若白髪ではない

そう、もはや、これは若白髪ではないのです。

私に首輪が着けられる日 6

男から渡された2冊の本を、私は必死で読んだ。

文字を追い始めると決まって眠くなるはずが、

この時ばかりは、そうも言っていられなかった。

「読んだら、感想聞かせてね。楽しみだなぁ」と、

無邪気に言った男の顔がチラついて、眼を休める気にはなれなかったのだ。

次に逢う日までには読むと決め、気合で読み進めた。

 

私は、子供の頃から、根性だけはある方だった。

それは自分を高めるための根性ではなく、

誰かの期待を裏切りたくないがために根性だ。

期待に見事応えて、認められたいというひたむきさではなく、

見捨てられたくないという卑屈な感情が、私の原動力になることが多い。

見捨てられるくらいなら、不眠不休で本を読むのだ。

 

そして、不眠不休とまでは言わないが、2冊ともなんとか読めた。

次に、感想を一旦ノートに書いて、それを頭に叩き込んだ。

よし、これで準備万端だ。

逢ったら感想を述べよう。

 

 

ついに、逢瀬の日がきた。

いつものホテルで落ち合い、2人並んでソファーに腰かけた。

この時間、男は決まって、まず私にキスをする。

が、この日は、その決まりが崩された。

本の感想も聞かれることもなく、穏やかな笑顔もなく、

床に置いたバッグから何か取り出そうとしていた。

私は黙って、男の次の言動を待っていると、

男は体勢を整え直し、

「おちゃこさん、これを貴女の首に着けるよ」と真顔で言った。

その男の手には、黒い革の首輪があった。

私はそれを見るなり、どういうわけか、体の芯がジーンと熱くなった。

 

「おちゃこ、俺の奴隷になりなさい」